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最近観た映画感想まとめて9本(2015第3四半期) [映画]

 7〜9月のこの3ヶ月間で、9本しか観ていない。映画好きの無職人間としては異様な少なさではないだろうか?

 どうも夏は暑さのせいか、映画を観る本数が減る傾向が前々からあるようだ。インド人とは逆である。(∵ インドでは、涼をとるために冷房の効いた映画館へ行く人が多いとか。対して私は行くまでの道中の酷暑がご老体にこたえるのである。そのくせ自宅では冷房は使っていない。)
 と言っても酷暑は8月上旬で終わったのだけど。なぜか体勢がそのままで推移して、と。

7月6日「きみはいい子」(丸の内TOEI)
「そこのみにて光輝く」の呉美保監督による新作。原作(2013本屋大賞4位)未読。
学級崩壊やいじめ、モンスターペアレントなどの困難さと戦う新米教師(高良健吾)、親から受けた虐待の連鎖で娘に手を上げてしまい悩む母親(尾野真千子)、認知症の老婆と自閉症の少年。脇役で出た池脇千鶴と富田靖子は、あとで解説を読むまでわからなかった!orz
俳優陣の演技はどれも素晴らしい。子どもたちも自然。ドキュメントタッチのリアルさはこの監督の持ち味か。

7月17日「ターミネーター ジェニシス」(TOHOシネマズ日劇)
シュワちゃん出演。ロボットでも表皮は経年劣化するとか、口実としか思えないがw
"old!"というフレーズが多用される。この言葉は、復帰第1作の「ラストスタンド」でも印象に残っている(字幕では「年かな?」となっていた)。
副題は最初「ジェネシス」と思っていたら「ジェニシス」?(genisysなんて英単語はないぞ!)
ターミネーター同士の格闘殴り合い場面が多い。それにしてもストーリーがわかりにくい。タイムパラドックスというか、ループが錯綜して、因果が乱れ、人物特にジョン・コナーの変異ぶりと時系列上の位置と実時間との関係が乱れてしまい「時は乱れて」状態。「時間の漂流者」という表現が強く響いたが、それは混乱を表している。このストーリーの欠陥のせいか、アメリカでもあまりヒットしていないようだ。やはりこのシリーズでは「T2」が最高だろう。

7月26日「あん」(シネマカリテ)
河瀬直美監督映画は観るの初めて(カンヌグランプリの「殯の森」は未見)。永瀬正敏は老けたなとも思ったが、年齢を考えたらむしろ異様に若いのではないか?
樹木希林の演技は最高だ。たどたどしい言葉使いと若干不自由な体や指遣いが絶妙。苦しいハンセン病隔離体験をしてきた人生の積み重ねと、それでもほのかな希望とかすかな喜び(自然、花、鳥、などとの交わり、どら焼きの餡を真心込めて丁寧に対話しながら作る)に満ち足りて生き抜いた、強く優しい人生が死後にも存在感と愛惜の念を醸している。

7月29日「インサイドヘッド」(MOVIX亀有)2D吹き替え版
吹き替え版一般に言えることだが、音が大きすぎる。子どもに難聴はあまり居ないだろうに。
脳内の、昔からよくある神経反応群のカテゴライズ分けの人格化。つまり、感情を〈喜び〉、〈悲しみ〉、〈恐怖〉、〈怒り〉などと大別して機能分けを行っているのだが、〈理性〉とか〈欲望〉とか〈計算/打算〉とかか出てこないのがイマイチ?。こういうのは古典的設定で、脳科学の進歩についていってないようだが、一方で記憶の扱いのビジュアル化などは脳科学の知見に沿っても居るような。
厄介事ばかり起こすネガティブな〈悲しみ〉が、ここぞというときに、癒やし、許し、受容、という大いなる働きをなし得ることが示されて感動的。
ヴィジュアル面でのキャラデザインはかなりダサい。表情の変化に目の形が不自然にしか追従できていないところが欠点。

8月3日「人生スイッチ」(ヒューマントラストシネマ有楽町)
アルゼンチン映画。現地では大大ヒット。かなり極端なシチュエーションで、人生の大きな岐路に直面する人々を描くオムニバス映画。http://jinseiswitch.gaga.ne.jp/story/
1)「おかえし」飛行機に乗り合わせた乗客全員がある一人の人物と関わりあり。
2)「おもてなし」父親の仇の村の顔役に再会するウェイトレスの復讐を手助けする女。
3)「エンスト」進路妨害した車のドライバーを侮辱したら仕返しされ、反撃がエスカレートし…。
4)「ヒーローになるために」ビル解体爆破技術者が駐車違反レッカー移動の理不尽に腹を立て、ついに得意の爆発で反撃。
5)「愚息」息子の交通事故の替え玉を用意し検事も買収しようとする金持ち。
6)「HAPPY WEDDING」結婚式で新郎の浮気を知った花嫁の大荒れ。
いやぁ〜、どれもこれもインパクトありすぎ!

8月10日「野火」(ユーロスペース)
大岡昇平の原作は未読。塚本晋也監督・主演!
凄まじいフィリピン・レイテ島の戦場地獄。肉片飛び散り、死体に蛆が湧きの描写がもう圧倒的。暑さと飢えと苦痛の肉体感覚がモロに迫ってくる。

8月28日「ジュラシックワールド」(MOVIX亀有)
(これを観たことのメモを忘れていて、第一稿から漏れてしまったのを加筆)
「ジュラシックパーク」のリメイク的な面とバージョンアップという両面がある。「パーク」の失敗をわかっていながら、さらにひどい暴走(スーパー恐竜の作成)を許してしまっているという、あの苦労は何だったんだ?反省しとらんではないか!という愚行の上塗りの酷さを見せつけている感じ。CGの進歩というのはあまり感じない、既に最初の作品でほぼ完成してしまっていたのだな、と今更ながらあらためて凄いと感じる。
 最後にあのスーパー恐竜を一飲みにする〈海王類〉が出てきたので、あやうく「噴く」ところだった。もしや「ワンピース」にオマージュ? あんなすごい海棲爬虫類って実在してない(つまりこれも遺伝子操作生物)と思うし、居たとしてもあんな狭いプールで飼えるか、っちゅー。他にも色々と突っ込みどころが多すぎだ。

9月14日「みんなエスパーだよ」(MOVIX亀有)
TVドラマ版はずっと観ていた。キャストはほとんど同じ(夏帆は出てないが)。マキタスポーツは相変わらず怪演好演だが、オナニスト役なら福山雅治に代わっても良かったのでは?
露出度が質量共に数段上がっている。水着姿の女性の総出演数がものすごい。その割にはカラッとしており、エロ印象度はむしろ下がっている(結果的効果的に)。こういうのは園子温の趣味なのだろうか?
ストーリーは途中からだいぶ変更されている。原作漫画に近いのは(読んでないが)多分、TV版の方なんだろう。超能力としてはあまり耳慣れない〈コピー能力〉とか〈メモリ操作〉とか〈浄化〉とか拡張が過ぎるような?最後の勝負での勝因がいまいちはっきりしない。相対化による効果減殺?

9月24日「天空の蜂」(MOVIX亀有)
毎日新聞の映画評でベタ褒めだった(「映画の力を再確認させる力作」「手に汗握る活劇、二転三転する謎解きの背景に政治的・社会的主題が置かれ」「日本映画もここまで出来ると、土性骨を示し」「近年最高の邦画娯楽大作」…云々)。
 確かに前半のクライマックス:息子の救出場面の迫力と斬新さは今まで見たことのない映像で、目を剥いた。
 しかしご都合主義的なところはあって映画ゆえの尺の問題もあろうが、犯人側の準備的な動きや仕掛けが克明には描かれなくて、その省略に因る飛躍が気になった。犯人の心の動き(息子に自殺されてからの)もいまいちよくわからなかった。これは多分私の読解力不足のせいだろうけど。



【蛇足】観ようかとリストアップしていて、まだ観てない、または見逃してしまった作品:
「黒衣の刺客」「パパが残した物語」「僕らの家路」「岸辺の旅」「ゾンビーバー」

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