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大英博物館展―100のモノが語る世界の歴史 [アート]

先日「鳥獣戯画展」に行ったばかりなのにまたぞろ出かけるとは、ここんところ展覧会づいている。たまたま面白い企画が目白押しになっただけとも言えるが、少し意識がこの方面に注意アンテナを張るようになって来ているのかも知れない。

 今度は同じ上野でも東京都美術館。「大英博物館展―100のモノが語る世界の歴史」に行ってきた。

 700万点の所蔵品から選ばれた、人類世界の歴史を雄弁に物語る100点、というコンセプト。こう言われたら一体どんなものが?と興味津々になるのは必定、言わば「設定の勝利」と言っていいのではないか?この場合は「企画コンセプト」だが。
 とにかく、ここのコレクションはあまりにも膨大なので、ちょいと覗いてみるか、なんて気軽に行くわけにはいかない。大体遠いロンドンにあるんだし、地理的な問題が無くなったとしても、どこから手を付けてどんな順番に見て回ればいいのかなんて分かるはずがない。と言うか、全体的に観ようと思ったら、何年も何十年もかかるだろう。つまり途方に暮れるしか無い。なので、普通の観光旅行のコースにも入らない。敬して遠ざけられるのが常の施設ではないのか?

 そこに、こういう初心者向けの親切な企画が供されたとなれば、これはもう必見、「観ずに死ねるか or 観ずば二度死ね」ものである。これ幸いと一生に一度の大英博物館詣(もうで)とはあいなった。

 開催期間が4/18〜6/28と長く、しかも平日であったにも関わらず、見物客は多く混んでいた。と言っても、「鳥獣戯画」のような何時間も待たされる狂騒的な混み方ではなく、初めから順路を普通に移動していける。ただ人にぶつからないような注意は必要、説明文を読むのにちょっと(長くても20秒くらい)待たされるといった程度だ。年齢構成は例によって高齢者が多いが、若い女性の姿も結構多かった。

 さてその選ばれた100点のモノというかブツというか、だが、さすがにどれもこれも本物の迫力と見応えがある。超古代から現代に至るまでの、文明の発展と人類の生活や政治社会文化の変化を象徴するような興味深いものに溢れている。有名なものもあったが、むしろ観るのも聞くのも初めて、なモノもたくさんあって、飽きさせない。時代(時間軸)を追って、世界各地(空間軸)から集めたモノを展示する方法はわかりやすく、説明文も明解で要領を得ている。
 勿論、膨大な世界史の事物を全体的包括的に概観できるわけではなく、まさに〈ほんの一部〉にしか過ぎないのだが、それでもその〈一端〉に触れることで、背後にある〈その他のモノ〉の膨大な圧倒的な物量、存在をそこはかとなく感じることができた。そういう点ではかなり的確な選定と思えた。単にゴロンとモノをその場に転がしておくだけの展示ではなく、時代背景や出自の状況、変化の方向性、他との関係性や影響などのダイナミックなあり方を簡潔に説明していることで、それぞれのモノが長い人類史の中に有機的に位置づけられて、躍動するような生気と魅力を放つのだ。実に見事な展示法と言えるだろう。
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