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最近観た映画感想まとめて23本(2014下期) [映画]

あけましておめでとうございます。
半期に恒例の「まとめて*本」であります。
(以下ネタバレ多し)

7月5日「超高速・参勤交代」(松の内ピカデリー)
映画通の友人に強く勧められて観た。無理めな設定だが、その難題をいかにクリアするかという、その創意工夫と思わぬ味方の出現と強力な妨害への反撃のご都合主義的幸運が相俟って、信じられぬ冒険が成就する、という息をも継がせぬ強引なストーリー展開には開いた口が塞がらない。

7月7日「オール・ユー・ニード・イズ・キル」(MOVIX亀有)
ハリウッド映画で日本のラノベが原作というのは初めてか。時間ループの宇宙戦争もの。敵宇宙生物(ギタイ=擬態?)の正体よく分からず。何度も死ぬたびに過去の同じ時刻に戻って、経験を積み成長していくというのは面白いが、この展開は無理強引。つまりご都合主義。最後の結末も同じ(一体いつの時点にワープしたんだ?)。戦闘場面の映像はまぁ迫力はあったけど。トム・クルーズって、いつまでアクション演技出来るんだろう?

7月9日「マレフィセント」(MOVIX亀有)
「眠れる森の美女」の新解釈?ディズニーそのものによるリメイク実写版。ってーか、まるで大違い。どこまでネタバレしていいのやら。実はあの魔女は善人だった、という設定は大体わかっていて意外な展開ではなかったが。
オーロラ姫役のエル・ファニングは「美女」というより可愛いタイプ。魔女役のアンジョリーナ・ジョリーは製作総指揮もやっているのか!それにしても〈エラが張り過ぎ〉ではないか。
 
7月15日「her 世界でひとつの彼女」(渋谷シネマライズ)
AIとの恋というのはさほど珍しくもないテーマだが、今回のはAIの音声役のスカーレット・ヨハンソンの声優としての素晴らしさが強く印象に残る。人口合成音の設定なのに、まっっったく不自然なところがなく、不気味の谷を軽く越えてしまっている。生きた現役女優に喋らせてるのだから当たり前なのだが、実はこれは映画作りとしては極めて不誠実な、インチキではないだろうか?やけに人間っぽく動くロボットだな、と観ていたら実は中には人が入ってました、と後から明かされるようなものだ。
と、それくらいサマンサの声はセクシーで自然で生々しかったわけだが、「よがり声」まで出したのには驚いた。AIの進化の一環で性行動まで再現するようになれたというわけか?〈魂〉の獲得への進化というのはAIテーマの大きな要素だが、それがほの見えてきた頃に、「二股ならぬ631股」が露見して一気に冷めてしまう結末はタイトルが裏切られているわけで、苦い覚醒をもたらす。
 
7月23日「思い出のマーニー」(MOVIX亀有)
ジブリアニメ。宮崎も高畑も関わっていない?「借りぐらしのアリエッティ」(意外にもジブリアニメでアメリカでの興収最大はこれだったとか)の監督による第二作。手描きアニメとしての出来(動きなど)、クォリティは高い。謎に満ちたストーリーはなかなか面白いのだが、マーニーが幽霊であることはほぼ始めから明らかだし、オチは途中(と言っても終盤で、はっきり明示される直前だが)でわかってしまった。このオチは若干《ご都合主義》と感じた。普通幽霊というものは生前の最後の意識(大人なら大人)を持って出現するものと思っていたが、こういう(タイムリープ型?)のは珍しい。

7月28日「ゴジラ」(MOVIX亀有)
前評判が良すぎた。期待が高くなった分だけ拍子抜け。ストーリーが雑でご都合主義。渡辺謙の役どころもなんかボワっとしていてイマイチ迫力がない。SFXはCGのお陰でまぁまぁ迫力はあった(特に咆哮シーン)が、今更驚くほどのこともない。
ゴジラ単体の登場かと思っていたら、ムートーとやらの怪獣との強引に設定されたプロレスで、日本のゴジラシリーズがお子ちゃま向けプロレスの寅さん興行と化してからの雰囲気が再現されている。なのでおっさんとしては興ざめ。
あと、核爆弾の爆発を海の方へ退避させるというやたらよくあるパターンなのだが、毎度思うに何メガトンもある核爆弾、数キロ海の方へ持って行ったくらいじゃ被害はもの凄いことになる筈なのに、アメリカ人のノーテンキな無神経さはいつもこうなので白けた。
 
《《《8月は全然観なかった!》》》←珍しい。

9月8日「わたしは生きていける」(スバル座)
1ヶ月以上間が空いてしまった、久々の劇場映画鑑賞。
予告編を見て興味を持った。核戦争の恐怖が描かれるが、低予算映画らしくスペクタクルは弱い。が、戦争、内乱の厳しい残酷な雰囲気はよく描かれている。政治的、軍事的状況が説明不足でよくわからないのが不満点ではある。しかし、あの雪のような降下物、死の灰じゃないかと思うんだけど、大丈夫なのか?
まだ二十歳の主演女優(シアーシャ・ローナン)は初めて見るが、好演だ。苦難の中で強く成長していく様が良い。

9月22日「ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー」(TOHO シネマズ日劇)
飛び石連休の中日つまり平日だが、休みをとって連続して休んでる人が観に来ていて普通の平日より客が多いかも?と思ったら、そんな事もなくて、ガラガラだった。そういう取り方をしてる人は映画館なんかには来ず、旅行に行っているんだろう。
さて、宇多丸氏が絶賛していたらしい(理由はまだ聞いていない)この作品、確かに面白かった。ストーリーは単純でご都合主義だが、実写とCG俳優(アライグマと植物人間)が競演してるのが特に面白い。今や実写でもCGは当たり前に使われるが、俳優そのものがCGというのは珍しいのではないか?
最初は敵同士だったのが、成り行きで仲間になる過程がなかなか良い。派手な空中戦も良く出来ていて、迫力がある。冒頭の母親の病死シーンがなぜ必要なのか疑問だったが、最後で訳がわかる(ようで、何その古代人って?)。

10月1日「猿の惑星・ライジング」(MOVIX亀有)
ファーストデーなので1100円。と言ってもいつも同じ(シニア)料金なので恩恵は全く無い。むしろ観客が多くて混むのが困るくらい。平日4時からなので入りは2割強だったけど。原題の"The Dawn of the Planet of Ape"の"Dawn"を「ライジング」と訳してるのは、意味的には同じなのかな?
前作「ジェネシス」の最後の、パンデミックが地球上に広がる様子の衛星画像的なCGの続きから始まるのが効果的。
いや、凄かった。サルの数が半端ない!もちろんCGなのだろうが、相当リアル。やや冗長に感じたけれども、サル内の葛藤、シーザーのアンビバレントな感情描写が素晴らしい。
 
10月8日「舞妓はレディ」(MOVIX亀有)
題名の洒落だけではなく、内容的にも「マイ・フェア・レディ」のパロディ要素が強い。言語学の教授が訛り矯正を助ける、とか。まぁまぁ面白かったが、ちょっと微妙なところ、ご都合主義的な部分は多く感じた。京都弁がいかにまろやかと言っても、あの波形はないだろう。デジタル音痴も甚だしい。
 
10月15日「ふしぎな岬の物語」(丸の内東映)
モントリオール映画祭で二冠、とか。吉永小百合初のプロデュース作品。観客のシルバー度高し。期待して観に行ったのだが、なんじゃこりゃ?
ストーリーが一貫してなく張り合わせで、オカルトっぽいのが不自然で、破綻しているではないか?わけがわからん。さらに「モントリオールで二冠」とか、もっとわけがわからないよ。
あと、吉永の目つきがなんか変に感じた。焦点がちゃんと合ってないような、無限遠にピントを合わせた平行視線のような…。

10月26日「イコライザー」(MOVIX亀有)
ホームセンターの平凡な初老の黒人従業員が、実は凄腕の戦闘員だった、という…一瞬で周りの状況を観察把握してプロセスを計算、続けざまに複数の相手をやっつける超絶技巧を発揮する、というアクションものとしてはなかなかの新機軸なんじゃなかろうか?まぁ多少のご都合主義のきらいはあるものの、あまり不自然さを感じさせない。
クロエ・グレース・モレッツが初の娼婦役。この役作りのため10kgほど体重を増やしたとか聞いた。(多分また短期間にもとに戻すのだろう)こりゃ凄い。プロである。

10月30日「悪童日記」(シャンテシネ)
アゴタ・クリストフ原作、未読。自伝的?
第二次大戦末期のハンガリーが舞台。双子の兄弟が母方の長年没交渉だった「魔女」と呼ばれる偏屈な祖母の農家へ疎開し、邪険に扱われる。虐待や苛烈な環境に耐えるために、敢えて自分たちを打擲し合い体と心を鍛えようとする二人。戦火の悪化。心を鬼にする事で生き延びようとする二人のニヒルな心理の恐ろしさ。子役の演技力が凄い!

11月3日「ドラキュラZERO」(MOVIX亀有)
あまり面白くなかった。設定というか、吸血鬼化の理路がよくわからん。3日間吸血を我慢すればどうなるんだっけ?妃が瀕死の際になんで血を吸わせてその我慢を敢えて破らせたのか? 吸血鬼になった部下たちはなんで配下にならずにゾンビ風になって襲うの? SFXも大したことなかったな。銀に弱いのって狼男じゃなかったっけ?ニンニクのほうが良かったのでは?

11月8日「100歳の華麗なる冒険」(MOVIX亀有)
封切り初日のを観るというのも珍しいかも。スウェーデン映画というのも珍しい。新聞の紹介記事を読んで面白そうだと観ることにした。上映時刻が都合よかったてのもあるけど。当然ながら知ってる俳優は一人も居ない。青年時代から100歳までの主人公アランを演じたロバート・グスタフソンの離れ業が凄い。ストーリーはハチャメチャである。老人ホームを抜けだして、彷徨ううちにふと大金を入手してギャングから狙われて反撃のため何人も殺しながら追われる現在と、過去の爆弾マニアとしての稀有な経験(スペインのフランコ将軍、オッペンハイマー、トルーマン、スターリンなどとの対面、交流があった、と!)の回想場面が交錯する構成もなかなか。とにかく唖然とするハプニング展開に目が離せない。

11月28日「馬々と人間たち」(渋谷イメージフォーラム)
珍しいアイスランド映画。初めてじゃないだろうか?
もっと奇妙奇天烈摩訶不思議な話かと思ったら、意外にそうでもなくてリアルだったが、ヘンな話ではある。片田舎の村の住人達と馬たちとの交わり。面白くまた苛烈なシーンが続出する。人が死に、馬も死ぬ。
既視感のある場面もあった。凍死を免れるために馬の腹を裂いて潜り込むのって、スターウォーズ「帝国の逆襲」冒頭シーンを思い出すし、野生馬の囲い込み捕獲は、馬ではないが「世界でもっとも美しい時」というTV番組で観たのと同じ。しかし、あそこにあんなに野生馬が生息してるとは知らなかった。

12月3日「インターステラー」(MOVIX亀有)
「2001年宇宙の旅」を少し連想させる。宇宙空間や宇宙船内の描写は相当落ちるが、予算的問題か。
環境問題で人類絶滅が迫る中、移住先惑星を探すプロジェクトで木星付近に出現したワームホールを利用して他の星系を探検するという話が、トンデモな展開を見せ、父と娘との絆が時間と空間を越えてつながり人類の危機を救う、という感動的なラストへ至る。話の広がり方に唖然。
いろいろ考えると合点がいかないところが沢山あって、やはり〈ご都合主義〉を感じてしまった。

12月10日「6才のボクが大人になるまで」(シネマシャンテ)
前の週に開始時刻を間違えて観れなくて、シャンテでの上映が終わってしまった、と思ったら復活(?)していたので、やっと観れた。7割の入りと平日にしては混んでいた(レディスデーだというのもあるか?)。宇多丸効果もあったのかもしれない。
これほどの時間をかけてキャストの経年変化を追って撮影し続けた作品というのは多分初めてなんじゃないだろうか? 個人のホームビデオのレベルなら、編集してこういう成長ぶりを追う作品も作れなくもないだろうが、それでは退屈なばかりで「劇」にはならない。これはあくまでもフィクションで、カメラを意識させない、ストーリーに沿っていわば〈神視点〉で描かれる映画だ。さほどドラマチックではなく淡々と描かれるが、その分リアルさが強い(だからドキュメント風味を醸す)。3時間近い長尺だが、長さは全く感じなかった。

12月12日「ヒューリー」(MOVIX亀有)
1945年4月ドイツ国内での戦車戦が舞台。こういう「戦車内の視点」が主の映画を観るのは初めてだ。他にあったんだろうか?ブラッド・ピットが渋い演技。たった1両で大軍に挑むという劇的な展開。これは設定の勝利だろう。
ひ弱な新兵が(いささか乱暴に)鍛えられ、僅か1日で(?)みるみるうちに勇猛な「戦士」に成長する過程が描かれるが、これはちょっと〈ご都合〉かも。
銃砲弾の飛跡がレーザービームのような映像で示されるのはやや不自然。それにしても迫力満点、激しい戦闘(虐殺に近い)場面の残酷さは「プライベート・ライアン」並みに凄い。
  
12月17日「ホビット 戦いのゆくえ」「西遊記はじまりのはじまり」(MOVIX亀有)
1日に2本観るのって何十年ぶりだろう? 映画は観た後もしばらくその余韻に浸りたい主義の私は1日に観るのは一本だけと決めていたのだが、ここのところ観たい映画が目白押しで、消化が大変なので、あえて2本見たのだった。年末年始映画として大物を並べるのはいいが、も少し分散してくれてもいいのではないか?
「ホビット…」は「ロード・オブ・ザ・リング」前日譚三部作の最終作で、ついに完結。
ホビットや人間以外の登場人物は殆ど年を取らず、「ロード・オブ・ザ・リング」にも同じ風貌で登場していたのが、なんとも妙な印象(レゴラスのオーランド・ブルームとか特に)だが、そういう設定なんだから仕方ない。ともあれ、激動の前史が描かれて長期的な視野が広がって満足という感じ。大げさに言えば、時の流れの悠久さのようなものを感じた。
 「西遊記…」は「少林サッカー」監督のチャウ・シンチー作品とあって、羽目を外した特撮に期待していたのだが、ほぼ満足のいく出来。まぁ相当〈ご都合〉というかアレンジが激しかったとは思うが。オリジナルキャラ(ちょっと無理のある設定とは思う)のスー・チーの美しさは健在。

12月24日「紙の月」(丸の内ピカデリー)
角田光代の原作未読。それとどう違っているのか、不倫に走る心理などストーリー展開にちょっと違和感というか無理筋な感じがあった。なので、宮沢りえの演技が高く評価されたとか聞いたが、それほどとも思えなかった。小林聡美の演技のほうが光ってた印象がある。昔観た「濡れた札束」とかいう犯罪ポルノ映画を思いだした。ラストシーンは意味不明ってか、なんでまんまと東南アジアに逃亡出来てるのか? 終わった後釈然としない感が残った。
 
12月26日「ゴーン・ガール」(MOVIX亀有)
TL上での評判が非常に良かった。
妻の失踪の謎から始まる。破綻していた夫婦仲。はじめは可哀想な被害者だった夫がテレビの疑惑報道でどんどん犯人扱いされて行く過程が怖い。
やがて周到に用意された計画的な「夫による殺害」偽装とわかるのだが…。それにしてもこの妻の計画の意図がわからなかった。身を隠して死んだことにして、どう生きていこうとしていたのか、がわからない。入水自殺を考えるシーンもあったし、あれは何?
金を奪われ、窮しての昔のストーカーみたいな友人への接近駆け込みもどうやら本来の計画の外のようだし…。最初から殺すことを意図していたとは思われない。
急遽立てた「拉致したのは彼」というストーリーには穴がたくさんありそう。彼の当日のアリバイとかはどうなのか?とか…。正当防衛で殺したというストーリーを立てたにしても「過剰防衛」ということにならないのだろうか?
どうも辻褄が合わない展開が多くて、釈然としない。偽装のために自分の血を抜いてキッチンにぶちまけたあと拭き取る、なんて凄いことをやってるが、あれはどう見ても1リットル以上あったような。ヒトの血液量は体重の13分の1と、高校の生物で習った記憶がある。彼女の体重65kgとして5リットル、その1/5だからほとんど致死量の出血ではないのかなぁ?
絶賛してる人が多いのだけれど、やはり〈ご都合主義〉を感じてしまった。

    ◆

 それにしても、映画を観るたびに書き留めておいたメモを読み返して、我ながら〈ご都合〉というワードが多すぎるな、と思った(出現頻度は全27本中実に11回)。こういうひねくれた見方ばかりしていたんでは、あまりいい観客とは言えないだろう。よくあるシニカルなスタイルの自分に酔う、みたいなみっともなさもあるかも、などと。

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もちろん

大変ご無沙汰しております。昔々お世話になった「もちろん」です。相変わらず凄まじい読書量、鑑賞量ですね。私は、この中では「オール・ユー・ニード・イズ・キル」だけ観ました。つまらないけれども印象的な映画でした。繰り返し繰り返しの展開ですが、ある意味で、私のような「出来の悪い人間」の心の奥底に、ひっそりと潜んで決して顔を出さない、非現実的な小さな欲望を描かれたな、という気がする映画でした。つまり、「あの瞬間をやり直せるなら、やり直したい」という小さな小さな願望です。私のように、こんな「ご都合主義」をエンタテイメントに求めている人もいるのかもしれませんね。
by もちろん (2015-01-03 00:54) 

ask

おやまぁ!これはこれは、もちろんさんではありませんか。実に何年ぶりでしょうか?お久しぶりです。アイコンが表示されないので、「もしかしてSo-netやめちゃったのかな?」と一瞬思ったけど、ハンドル名のところをクリックしたらソネブロは残っていて
今日の記事を読めました。やれやれ。
で、元気そうで何よりです。

>やり直せるなら、やり直したい」という小さな小さな願望
 ループものは多いですが、殆どそういう願望がメインになってますよね。人の持つもっとも普遍的な願望でしょうし。
by ask (2015-01-03 01:47) 

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