「みずは無間」(六冬 和生) [SF]
第1回ハヤカワSFコンテスト受賞作。
宇宙探査機の制御用AIに人格転移された雨野透。その恋人(糖尿病で依存症で過食症)のみずは。こういう組み合わせで、宇宙大のスケールの情報生命体の進化(かなりペダンティックであるし荒唐無稽でもあるが)と、日常等身大レベルの心理的葛藤(の記憶)が平行して描かれる、そのアンバランスとあっと驚く結合のストーリー展開のアクロバットさが凄い。
「恋愛ハードSF」とでも言えばいいのだろうか? 実に面白くてスリリングでセンス・オブ・ワンダーに富んでいる。傑作だ。
電子化された人格のAIが自らを改造し、無数のコピーバリエーションを生み出して宇宙に放ち、それぞれが別々の進化を遂げる。そして何千年か何万年か後に再会して対話し、また相争う。自己改造進化が究極のサイズにまで発展し、本能として埋め込まれ、かつみずは由来で強化された《情報への飢え》が…。これ以上はネタバレなので止めておくが、なんともスケールのでかい話である。
そして「セカイ系」的でもある。きみ(みずは)とぼく(雨野透)、そしてセカイ(大宇宙)。セカイ系の弱点である中間項としての社会描写の欠損、についてはスケールの大きさ故にやむを得ない面がある。人類文明の未来の宇宙進出が極端に豊かに広がる前提だが、あまりの大きさに引いて遠景としてあっさり書くしかないので、社会性がどうのなんて言ってる場合ではないのだろう。むしろ、ミクロとマクロをよくぞ止揚し得た、と褒めるべきかも?
宇宙探査機の制御用AIに人格転移された雨野透。その恋人(糖尿病で依存症で過食症)のみずは。こういう組み合わせで、宇宙大のスケールの情報生命体の進化(かなりペダンティックであるし荒唐無稽でもあるが)と、日常等身大レベルの心理的葛藤(の記憶)が平行して描かれる、そのアンバランスとあっと驚く結合のストーリー展開のアクロバットさが凄い。
「恋愛ハードSF」とでも言えばいいのだろうか? 実に面白くてスリリングでセンス・オブ・ワンダーに富んでいる。傑作だ。
電子化された人格のAIが自らを改造し、無数のコピーバリエーションを生み出して宇宙に放ち、それぞれが別々の進化を遂げる。そして何千年か何万年か後に再会して対話し、また相争う。自己改造進化が究極のサイズにまで発展し、本能として埋め込まれ、かつみずは由来で強化された《情報への飢え》が…。これ以上はネタバレなので止めておくが、なんともスケールのでかい話である。
そして「セカイ系」的でもある。きみ(みずは)とぼく(雨野透)、そしてセカイ(大宇宙)。セカイ系の弱点である中間項としての社会描写の欠損、についてはスケールの大きさ故にやむを得ない面がある。人類文明の未来の宇宙進出が極端に豊かに広がる前提だが、あまりの大きさに引いて遠景としてあっさり書くしかないので、社会性がどうのなんて言ってる場合ではないのだろう。むしろ、ミクロとマクロをよくぞ止揚し得た、と褒めるべきかも?
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