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「重力機械(マシン)―ブラックホールが創る宇宙」(ケイレブ シャーフ) [サイエンス]

 久しぶりに宇宙の本を読んだ。ブラックホールが宇宙の進化に大きな影響を及ぼしたとする最新の知見を解説した本。

重力機械(マシン)―ブラックホールが創る宇宙

重力機械(マシン)―ブラックホールが創る宇宙

  • 作者: ケイレブ シャーフ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2013/03/08
  • メディア: 単行本


 ブラックホールがただ物質を一方的に呑み込むだけの存在ではなく、大量のエネルギー(ガンマー線やX線などの電磁波)やガスを噴き出している、という。呑み込まれる物質が高熱に熱されジェットとして噴出している、と。この話は前から知っていたのだが、この本はその及ぼす巨大な宇宙への影響が、恒星の誕生を促したり逆に抑えたり、様々な微妙な影響を及ぼし、大宇宙の歴史展開に大きな役割を果たしてきたことに注目し、その〈重力マシン〉としての意味の大きさを説く。

 私がブラックホールというものに抱いていた、究極の「死」「虚無そのものの暗黒」みたいなイメージとはまるで違う、これほど大きなアクティブな存在であることがわかったのは収穫だ。

 今までの研究の歴史をディテールまで詳しく振り返り、研究の過程もまたやたら詳しく記述していて、原文が冗長なのかも知れないが、訳文はあまりこなれているとは言いがたい。ちょっと読みにくかった。その割りには得られた情報量はさほど多くない。忙しい人は訳者あとがきだけ読めば十分かも。天文学研究現場の雰囲気を知るにはいいかも、だが。

疑問点をいくつか。
 クェーサーというまばゆく輝いている太古の天体の正体が中心に超巨大なブラックホールがあるためと言うのだが、イマイチよくわからない。

 そもそもブラックホールは〈物質をエネルギーに転換する最も効率的なマシン〉だと言うのだが、これもわからない。たかが摩擦熱くらいでE=mc^2のエネルギー変換がどうして起こるのか? そのメカニズムには触れられていない。核融合に必要という数億度よりはるかに高い温度にでもなって物質そのものがエネルギーに変換されるのか? ここは説明不足だろう。

タグ:天文学 宇宙
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