SSブログ

「ジョン・カーター」 [映画]

 中学時代(SFに巡りあった最も初期)に大いにハマった火星シリーズの第1巻。あの往年の、スペースオペラ隆盛の嚆矢となった作品、E.R.バローズの「火星のプリンセス」の映画化である。初めていきなりこの予告篇が出て来た時にはびっくりした。まさか、今頃これが映画化されるとは!ディスニー生誕110周年記念作品。
 なんだか空前の赤字大作らしい(大コケ?)。出来が悪いとか聞いても、観ないという選択肢は最初から無かった。この年になって観れるとは、長生きはするものである、というくらい懐かしい原作なのだ。
(以下ネタバレあり)





















 監督は「ファインディング・ニモ」の監督で、実写作品は初めてだそうだが、ま、「9割くらいCG」なので問題なかったわけか。

 しかし、観終わっての感想としては、かなり微妙、と言うよりやはり失望のほうが大きい。
 原作を大きく変えてある。造形イメージ(キャラクターデザイン)も武部本一郎氏のそれらとはまるで違う。緑色人が細すぎる(第9地区のエビ型宇宙人を連想させられた)。犬のウーラは太すぎて、山椒魚みたいな体型。あれであの敏捷さはありえない。跳躍力は火星の重力の小ささのせいのはずなのに、跳び過ぎ。
 武部画伯の絵(武部本一郎展を参照)はアメリカのファンダムの間で大評判になった、と聞いていたので、これが最も一般的なイメージとして受け入れられているのかと思いきや、そうでもなかったのか?少なくとも日本では、絵的にはアレしかあり得ないので、ネット上のコメントにもそのギャップに不満の声が散見された。

 デジャー・ソリスはアクティブ過ぎ、強すぎる。大活躍!原作のあの〈妖しさ〉が無く、まるでアマゾネスではないか(黒髪なのは良い)。文武両道共に能力がありすぎる。なんか昔のお話を現代に映画化するときにはかつての〈保護すべきか弱い存在〉という女性像が、現代的に強い存在に変えられるという傾向が色んな作品で目につくのだが、これもその種の改変だろう。時代が変わったというのもわかるが、そこまでアレンジしちゃうのはどうなんだろうな?と若干疑問が湧いた。
 この女優、まぁ美人ではあるが、とてもとても脳内ソリスには及ばない。と言うか、デジャー・ソリスを演じられる生身の女が地上に居るとも思えないのだが(笑)。やはりこの表紙画が至高である。
soris.jpg
 サーンという魔法使いみたいな一族が敵の黒幕として出てくるが、これは原作には一切ない。これで、ストーリーは全く違ったものになってしまっているので、承服しがたい。聖地の遺跡の巨大メカとか、テレポーテーションシステムとか、第9光線とか、ガジェットが多すぎる。既存作品の寄せ集め感がある。
 というわけで、残念ながら粗探しになってしまった。
タグ:SF映画 CG
nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。