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最近観た映画感想まとめて7本 [映画]

 小説の感想と比べると、どうも映画の感想は書きにくいのだが、なんでだろう?
 ひとつ、小説はそれ自体〈テキスト〉であるので即感想のテキスト化がしやすいが、映画は視聴覚メディア(映像と音)なのでテキスト化に馴染まないから、という理屈を考えてみたのだが、あまり当たっているとは思えない。
 私自身の映画鑑賞力が弱い(これは老化のせいもあるが、もともと弱かった)ためか? 映画はこちらの都合を構わずにどんどん展開していくので、ちょっとでも注意が逸れて部分的に聞き逃したり、字幕や画面の肝心な部分などを見逃したりすると、大事なストーリー展開やシチュエーションや俳優の位置づけやら関係やら微妙なところがわからなくなることがある。これが読み返せない小説に比べて不利な点だ。視力・聴力ともにやや衰えが兆しているので、そういうケースがかなり良く発生するようになったという残念な事情もある。
(ここで思い出したのが、最近の子供の中に「ラノベは読めるがマンガは読めない」という現象がまま発生している、という話。ラノベなら全部字で説明してくれるが、マンガだと絵から意味を読み取らねばならず、マンガの文法に疎いと理解出来ない、らしいのである。まさか、ラノベ隆盛の理由がこれだとは思えないが。私の映画体験はこれと類似してるのか?)

 こういった状況なので、その映画を「存分に味わい尽くしている感」が減じてしまっている。監督や役者の名前も殆ど覚えない。なので、その人物の経歴、以前の作品群を通した成長なり変化なり新機軸も含めて〈通時的〉に吟味し味わうということが殆ど無い。よほどお気に入りの役者や監督なら別だが。

 余談だが、知り合いの映画マニア(あの年間250作くらい観てるTomboさん)がある日、「1日に3本観た」と言ってたので、「とても真似できない」と言ったことがある。私は1本映画を観た後は、その余韻に浸りつつ反芻しながら記憶に定着させるという作業をしなければならないので、すぐに全く異なる別の映画世界に没入することができないという不器用さもあるのだ。もちろん物理的に見ることは可能だが、切り替えが上手くできない、と言うか、それをやると最初に観た映画のほうがすっ飛んでしまいそうでもったいない、と。その割にはTVドラマだと連続して見れるんだけど、なんでかわからない。TVはタダで見れるので(いや実際には受信料や商品価格内広告費で払ってるんだけど)、真剣さが若干足らないからか?

 話が深刻になってしまったが、感想を書きにくいので見た後放置していた最近見た映画についてメモっておこう。

1月22日「テトロ」(六本木シネマート)
 コッポラの自伝的要素が強い作品らしい。2つのもつれた父子関係が描かれるが、芸術家というのはややこしいものである、という印象。点滅する光の催眠効果(?)が人生の危機を象徴する効果を出していてこれはなかなか上手い。

1月30日「ロボジー」(MOVIX亀有)
 零細なロボット開発会社がインチキの着ぐるみでごまかすために、中に生身のヒトが入って大評判になるという、まぁ冗談みたいな作品だが、ミッキー・カーチスの老人っぷりが板に付いていて、愛らしい。助演の女優が知り合いに似ていて驚いた。

2月3日「ピアノ・マニア」(新宿シネマート)
「テトロ」を見た時に予告を見て、興味深かったので同じシネマート系列の新宿へ行ってみた。予告編では、「ピアニストよりも真の演奏者は調律師」というような主題であるかのような印象を持った(だからこそ興味を惹かれた)のだが、むしろピアニストの要求する音をいかに忠実に実現するかに心を砕くプロの凄さが描かれていた。

2月5日「ベルセルク」(MOVIX亀有)
 15年前くらいにTVアニメ化されてたのを少し見た。原作はその頃から読み始めて、ずっと読み続けているが(最近の4巻くらいはまだ)、いつ終わるのだ?100巻くらいまで行くんじゃないか?
 映像は綺麗だが、さほどの感興はない。今これを映画化する意味って何だろう?

2月9日「永遠の僕達」(TOHOシネマズシャンテ)
 不治の病に冒された恋人との最後の交流。このテーマは数多いけれど、かなり異色。幽霊(しかも日本の特攻隊員の)が出てくる。しかし、これの必然性がわからない。主人公の心理的危うさが同じテーマの作品とは一線を画す。

2月17日「TIME」(MOVIX亀有)
 寿命が操作できるようになった未来社会。余命はイコール財貨となり、搾取社会になっている。予告で見て面白そうと思って観たのだが、やや期待外れ。社会設定や展開がご都合主義。

2月22日「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」(MOVIX亀有)
 原作は随分評判(Twitter文学賞では外国部門2位)になったようだが、未読。9.11で慕っていた父親(トム・ハンクス)を失った息子が、父への思いから、遺品の中に見つけた鍵の合う錠を探してニューヨーク中を訪ねて回るクエスト。あの悲惨な事件の遺族の心情が切々と描かれる。探索の過程での様々な人々との出会い、交わりが多様で、原作ではもっとディテールが豊かなんだろうなと思わせる。母親役のサンドラ・ブロック、ちょっと老けたけど相変わらず美しい。主役の子役の演技力はすごい。第二次大戦で心の傷を負った祖父(喋れない)のエピソードも重い。ちなみに、タイトルは作中で主人公が作った飛び出す絵本の題名(いまいち意味不明だが)。
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