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「天地明察」(冲方 丁) [小説]

「えーーっ!まだ読んでなかったのぉお〜〜!」と言われてしまいそうだけれど、はい読んでませんでした。orz
 2年前の11月に出版されて以来、賞賛の嵐、本屋大賞受賞、直木賞候補、ユリイカでの特集号(←借りて部分的に読んだ)等々、評判は聞こえており、「いずれは読む本」に入れておきながら、図書館で申し込んでも300人台の予約待ちで待つこと1年以上、ついに借りることができ、早速一気読みした次第。
天地明察

天地明察

  • 作者: 冲方 丁
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2009/12/01
  • メディア: 単行本



 (図書館で借りて読むとは、作家に対するリスペクトに欠ける行為と誹られるのは承知だけれども、なにせ無収入の身、今まで納め、今も納め続けている税金を思えば図書館を使わせて貰うことにあまり恥じる気持ちはないのが正直なところ。)

 とにかく無類に面白かった。今まで読んだ小説の中で10本の指に入る、と言っていい。

 数学や天文学への知的興味と、江戸時代の過渡的な時期の政治や文化の動きへの歴史的興味を同時に満たす、すぐれた歴史小説と言える。そして描かれる人間性、真理探究への情熱、血のにじむような苦行、多様な人々との熱い友情や信頼、恋の味わい、数度に渡る挫折と復活、政治的駆け引きの冴えに至るまで、明解な筆致で展開する筆力の強さ。脱帽である。読んでる途中から涙があふれて止まらなくなった。

 もちろん取材による史実とは別に、作者の想像によるフィクションの部分はとても多いだろう。よく「戯作三昧」の境地として〈作中人物が勝手に動き出す〉的な言葉があるが、そうして結実する展開はリアリティが強いもので、つまり「迫真性」があるものだろう。この作品でもその感は強い。表情などの些細なディテール描写の端々にそれを感じさせるのだ。モデルのある小説としてそれはどうなの?と思う向きもあるかも知れないし、実際の執筆はそうでなくもっと練られたものである可能性も高いが、とにかく傑作。もしまだ読んでいない人が居たら(居ないか?)絶対のおすすめ。
(なお、来年公開に向けて現在映画化進行中らしい)

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ask

映画『天地明察』オフィシャルサイト 2012年9月15日公開! http://www.tenchi-meisatsu.jp/index.html
by ask (2012-05-19 21:40) 

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