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「アナーキー・イン・ザ・JP」(中森 明夫) [小説]

 この本の存在を知ったのはTwitterで、である。昨年の9月ころだったか、中森明夫氏がTwitterを始めたというのでフォローしてみたところ、どうも、この小説を宣伝するためにアカウント取ったようなのだ。PCすら持たず、ケータイから必死で慣れようとするさまがほほえましくも面白かった。(しかし、PC使ってないということは今どき手書きで原稿書いているのか?)

アナーキー・イン・ザ・JP

アナーキー・イン・ザ・JP

  • 作者: 中森 明夫
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/09/29
  • メディア: 単行本

 本の宣伝のため、という事は、〈嫌儲〉的(私は相当その要素が強い。パソ通の時代も「金が欲しいだけの奴がネットなんかに来るんじゃねぇよ!」と思ったことがある。Twitterであからさまに商売して儲けようとしてるのがミエミエの人はブロックしている)立場からは忌避すべき相手かもしれない。
 しかし、自著の宣伝に関しては、私は反感は抱かない。実際、私のフォローしてる作家など文筆家の多くが新刊(や旧刊も)の宣伝をしているが、その多くが「おっ、面白そう!読んでみようかな」と思わせるものが多く、その情報は目障りどころか有益なものだ(って、元々興味があるからフォローしてるんだから当たり前だろうが)。Twitterで知って購入した本は多い。実際、本の販促には相当な効果があると思える。近い例では東浩紀氏の『思想地図β』が全く広告なしのTwitterのみで2万部超えの快挙なんてのがある。
 ちなみにここで、私がフォローしている文筆家(作家、漫画家、評論家、ジャーナリストなど)のリストを書き出してみよう…と思ったが、数えたら51人も居るので、やめた。
 作家が自作を宣伝する手法の中に、単純な告知ではなく、読者からの感想をRTするというのがある。中森氏もそれを多用している。勿論選んでるのでネガティブなものは無い。そもそも、本人が見てるかも知れない公共の場でわざわざdisる人はあまり多くないだろうし。
 などと前置きが長くなりすぎたが、この作品について。

 いやはやなんとも「熱い」小説である。リーダビリティーは非常に高く、主人公の一人称形式で口語体に近い記述は「つるつる」と読めた。
 それにしても、大杉栄の霊が17歳のパンク少年に憑依して「肝胆相照らし」、大騒動を巻き起こす、というのは意表をつく設定で、いわゆる「設定の勝利」という面はあるが、語り口の上手さと綿密な文献取材に基づいての展開と構成の妙とで、(ちょっとやり過ぎ的逸脱やら、実在人物名の頻出しすぎの楽屋落ち感というか一種パクリ感は拭えないものの)痛快にして情緒溢れた読み応えのある作品になっている、と言えるだろう。
 「友を選ばば書を読みて、六分の侠気、四分の熱」という言葉が浮かんだ。(この言葉を発した人のお孫さんの最近の振る舞いは?だけど)

タグ:Twitter
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