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「まほろ駅前多田便利軒 」(三浦 しをん) [小説]

今更だが、三浦しをんの小説を初めて読んだ。4年も前の直木賞受賞作。
まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)

まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)

  • 作者: 三浦 しをん
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/01/09
  • メディア: 文庫

 面白かった。読みやすい。この作家固有の文体を感じさせる。それはテンポよく歯切れがいい。ややライトノベル風の印象もあるが。
 設定は良い。なにしろ「便利屋」という特殊な商売を営む男が主人公なのだ。どんなシチュエーションでも作れるという、まさに便利な設定である。目の付けどころがいい。犬の世話、倉庫のゴミ整理、バスの運行の監視、戸の建付修理、小学生の塾への迎え、旧カレとの別れ話に新カレ演技、などなど。しかも、当然のごとく、その仕事絡みで事件(のようなもの)が発生し、慌ただしく動くことになる。推理小説風味とアクション風味。
 主人公二人の男のキャラはよく立っている、のだが、しかし、謎めいた背景来歴が暗示されるのに、なかなか真相が見えてこない。そこがかえってもどかしくも魅力的だ。二人の間のわだかまりと徐々に深まる信頼・友情の進展が心憎い。
 「まほろ市」という架空の地名を使う理由がよく分からない。舞台は明らかにまんま東京都町田市だ。御丁寧に小田急線を「箱根急行(ハコキュー)」とまで言い換えている。あえて架空名にすることで、〈どこでもない街〉のフィクション性を印象付けようとしているのか?
 続編も出ているようだ。続けて読みたい気になった。
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