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「純潔ブルースプリング」(十文字 青) [小説]

 十文字青さん(さん付けで呼ぶのはTwitterで相互フォロー関係になって会話を交わし、ついったー友人としての親しみをもつようになったからだ)の作品で読むのは、「ぷりるん。」に続き、これが2冊目。もの凄いペースで作品を執筆中の作家に対して、なんとも〈弱小〉な読者だろうけれど。
純潔ブルースプリング

純潔ブルースプリング

  • 作者: 十文字 青
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2009/08/26
  • メディア: 単行本
 8月末に(ラノベでなく、一般文芸書として)出版されたこの作品を知ったのは、勿論わがラノベ導師、ub7637さんとSHINOさんのブログとTwitter上の書き込みによるものだ。二人ともかなり褒めてたし、何しろこの作品は著者の処女作で、《2003年角川学園小説大賞特別賞受賞作品》だったのに、なぜかは知らねど(「ジャンルエラー」という言葉は聞いたが、ラノベ向きでなかったということか?)刊行されていなかった。それがやっと日の目を見たわけで、まずは「めでたい」と言うべきだろう。
 ub7637さんはブログで、「ライトノベルではなく、一般文芸としての出版ということで、もっと多くの人に読んでもらえる機会でもある」と書いているが、著者本人のTwitter上での発言では、一般文芸書は〈売れない!〉のが辛いそうだ。確かにラノベの方が部数は出るんだろう。ラノベのカバー範囲は広いからラノベで出して問題ない、と思うんだけど。
 「あなたのための物語」に続いて読む小説がこれであるというのも、因縁がある。ほぼ同時期(8月末)に刊行されたこの2冊の著者がやはりTwitter(最近こればっか。まだやってない「情弱」^^;な方には申し訳ないけど)上で、著者のお二人がお互いに相手の作品をとても高く評価し合う場面に遭遇したこともあるのだ。
 ところで、この本のカバー装画はご覧のとおりとても奇麗で、これを描いた石居麻耶さんのブログを見ていただくともっと大きく見れるのだが、実はそれを読んで抱いたイメージと実際とではだいぶ違うので戸惑った。もっとシリアスな小説かと思い込んでいたのだ。
 で、読み始めて正直言って「なんじゃこりゃ!ハチャハチャではないか!」、まるでギャグ漫画である。「ハイスクール奇面組」を髣髴させるのだ。出てくるクラスメート6人組のそれぞれの個性と能力(といって良いのかなぁ)が「パねぇっす!」。物理学的にあり得ないのである。それに今時の(って近未来だけど)の高校生にしちゃえらく語彙が豊富でないかい?とも。おいおいおい、と思いつつ、ま、面白いからいいか、と読み進めると、いやいやどうして、シリアスになってくる(ここら辺は「男組」的である)。純愛熱血超絶格闘技ヒーローものになるのだ。すごい展開だ(平井和正を思わせられた)。文章は処女作ということもあって「荒削り」なところはあるが、初めての作品でこれだけ書けるってのはやはり才能だろう。読みやすさは抜群だ。
 しかも、ストーリーはそれぞれが抱えるトラウマに及んで重層的な深みを増し、デリケートでナイーブな心情の発露と、困難に立ち向かう友人とのつながりへの全幅の信頼感が描かれることで、気分は最高潮へ!
 処女作にはその作家のもつ全ての要素が入っている、とはよく言われることだが、この作品の中のナイーブな人間愛の要素が「ぷりるん。」にも受け継がれているように感じた。「薔薇のマリア」や「いつも心に剣を」では、格闘バイオレンスが展開されているのだろうか?
 最後に。この本を読む前に著者本人から、随分と謙遜した発言を貰いました。いや、十分楽しませていただきました。ありがとうございます。
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SHI-NO

私は『SHI-NO』なんです。『SHINO』じゃないんです(重要)。・・・・・・ってこれどこかで突っ込んだことがあるような。

っていうか大してラノベを伝導した記憶が無い・・・・・・アレ?
by SHI-NO (2009-09-17 23:39) 

ask

あ、失礼しました。SHINOもといSHI-NOさん。

>突っ込んだことがあるような。
私もそんな気がします。

>ラノベを伝導した記憶が無い・・
私淑しておったわけです。陰ながらお慕い申し上げております。
by ask (2009-09-18 09:11) 

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