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「日本人の死に時―そんなに長生きしたいですか 」(久坂部 羊) [セカンドライフ]

 このマイカテゴリー(セカンドライフ)に書くのは久しぶりだ。
 さて、引退生活をおくる上で、いろいろと参考になる本を漁って、結構な数を入手してあるのだが、それらについてはこのブログにおいおい書いて行くことになるだろう。(実はそれらを溜め込んでさらにツン読本が増えてしまうという、ツン読本を減らすためだった筈なのに、なんのための引退か、という皮肉な状況になっているのだった。)
 そんな本の中で、昨日読み終えたのがこの本だ。これを知ったのはmichaelaさんのブログのサイドバー上の紹介からである。Thanks!>michaela
日本人の死に時―そんなに長生きしたいですか (幻冬舎新書)

日本人の死に時―そんなに長生きしたいですか (幻冬舎新書)

  • 作者: 久坂部 羊
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2007/01
  • メディア: 新書
著者は医師で作家(「廃用身」「破裂」「無痛」などの作品がある。未読)。
 以前読んだ「長生き」が地球を滅ぼすの内容と符合する所がある。
 日本人の平均寿命は世界一だが、その実態たるや決して誇れるものではない。大変なコストをかけて〈死なせない医療〉つまり「生かさず殺さず」が達成されている。薬や技術(人工呼吸器や中心静脈栄養)により、自然な死が無理やり延期され、苦しみ抜いたあげくの死を迎えさせられる。
 このことはむろん今までも知っていたことだが、終末期医療の現場にあって日々患者に接している立場の医師の経験と省察によって裏打ちされた言葉として、その理不尽さ不自然さ残酷さが徹底的に批判されており、極めて説得力がある。
 なぜ人生最後のときを数ヶ月から数年間も、こんなに苦しまなくてはいけないのか、これは愚行と言うべきだ。
 「尊厳死」というのがあるが、それを選ばざるを得ない状態にまで至るプロセスで既に十分人間の尊厳は毀傷されているように思えてならない。
 人が一生に使う医療費の半分が死の直前2ヶ月に使われる、などという統計もあると言う。こんないびつな医療はやめるべきだ。と言うか、財政的にも早晩見直さざるを得なくなるだろう。なにしろ、あの〈団塊世代〉の大群が、いよいよこれから死期を迎える時代に入るのだから。彼ら(私を含む)を終末期拷問にかけるために若い世代から金を吸い上げて費やすのか?
 この本は全ての団塊世代人必読だ。いや、若い人も、自分のあるべき死に時(85歳などでなく、もっと前に)を考えて、それまでの時間(それから後は余生)をよく生きるための人生設計を考える必要性を理解し、実行するために読むべきだ。
 私も、多くの老人たちが真剣に願うように、なんとか苦しまずにうまく頃合いを見計らって死ねるようにしたい。が、実際はなかなか難しいかもしれない。著者の言うように〈医療を受けない、病院に行かない〉というのは有効だろうが、それには重症化してかえって医療費が膨らむなんていう顛末は許されず、死んでも病院には行かない、という決意が必要だろう。
タグ:老後 日本人
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