SSブログ

「ウェブはバカと暇人のもの 」(中川 淳一郎) [ノンフィクション]

 インパクトのある、しかも共感する人が非常に多い(であろう?)タイトルだ。共感と言っても、自分を実のところ「バカ、暇人」と自覚しているか、自分以外の他人の多くがそうだと思っているか、は別として。(ちなみに私は勿論、前者のうちに入る)
ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書)

ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書)

  • 作者: 中川淳一郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2009/04/17
  • メディア: 新書
 いま隆盛を極めるブログや掲示板のネガティブな面(暴言、ブログ炎上など)の事例を〈現場の目〉で取り上げて論じている。
 まぁ、ネットにバカが多いなんてのは前からわかっていたことであり、ネットは暇がなきゃ出来ないのも当たり前だし、リアル生活が実しているまともな人はネット書き込みなんかやらない、というのは「観測された事実」らしいし、今更の感がある。誰もが知っている事だ。が、インターネットの現在の諸相の中の一部(と言ってもかなり大きな部分)を的確に記録したという意味はあるだろう。企業のネット戦略のアホさ加減の指摘も面白い。
 ただ、「バカ」と言っても明確に線引きできるかというと疑問だ。人はあるときはとんでもなくバカであり、一方で時には光ることもある、のではないか。(などと自慰的に考えたりする)

 ところで、ネットでの彼らの言動は無意味とは言え、彼ら自身にとっては勿論〈無意味〉ではない。ガス抜きをするという効用はある。日々の鬱憤をネットで暴言を吐く事で解消出来るとすれば、これの社会的メリットはそれこそ馬鹿にならない。人は愚痴を聞いて貰うだけでも相当程度癒されるということはカウンセリングのイロハだ。彼らからネットを取り上げたら、(小人閑居して不善をなす)犯罪に走る可能性は高く、治安は一気に悪化するのではないか? そういう意味では彼らは(実際に通り魔などを実行する事に比べれば、はるかに)穏便に自己制御が出来ているのであり、それひとつをとってもネットのレゾンデートルはある(一害あって百利ある)、と言っていいのではないだろうか?
 著者は彼らの言動を「集合知」ならぬ「集合愚」と切り捨てているが、「愚」を集めて一括して電子化磁気化という名の廃棄物処理が出来ていることは、サルから変化した人類にとって僥倖と言わねばなるまい。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(1) 
共通テーマ:学問

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。