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〈断定表現〉づくし [言葉]

時々やる〈〜づくし〉シリーズだが、今回は真面目にやろうと思う。
 以前「語彙について」という一文をものしたことがあったが、あのとき念頭にあったのはもっぱら〈単語〉であった。語彙にはもう一つある。レトリックとしての表現のヴァリエーションである。つまり単語の組み合わせの妙だ。
 ただ、これをさらに拡張すると〈文〉になってしまい、もはや〈語彙〉の範疇を越えてしまう訳だが、その中間の慣用的(よくある言い回し)表現の世界は実に多彩、豊穣である。それぞれ微妙にニュアンスが違うし、それに先行したり後に続く言葉の持つ雰囲気、語感に対してより良く馴染む表現があるのだ。この辺の感覚は恐らく読書や会話体験の総量に比例して磨かれるものだろう。
 そこでまず思いつくのは〈断定的表現〉である。肯定にしろ否定にしろ、文末には断定的な言葉が来るのが普通に多く見られるパターンであって、「です。ます。である。だ。」で済ませることも可能だし、その方が簡潔なのだが、それをもう一つ強調したい時に、いろいろな表現があり得る。というわけで、

【肯定の場合】
〜であることは明白だ
〜と言える
〜と言わざるを得ない
〜と言って過言ではない
〜とは言わずもがな
〜なのは言うまでもない
〜は確かだ
〜は少なくない
〜であることは論を待たない
〜なのは火を見るよりも明らかだ
〜とは衆目の一致するところである
〜に疑問の余地はない
〜は揺るぎない事実だ
〜は当然と言えば当然
〜ということを疑う人があろうか
〜は疑いようもない
〜と断定せざるを得ない
〜とは万人の認めるところだ
誰もが〜
徹頭徹尾〜だ
文句なしに〜だ
すこぶる付きの〜だ
天地神明に誓って〜だ
〜は必至だ
往々にして〜となる
〜とは嘘のような本当の話

【否定の場合】
〜など金輪際ない
〜などとは万に一つもあり得ない
毛頭〜ない
〜する筈も無い
〜な奴の気が知れない
〜なんて馬鹿馬鹿しい
〜は愚か者の結論である
〜には疑念なしとしない
〜なんて啞然とするばかりである
〜などとは常軌を逸している
〜などとは信じられない


 などと書き連ねては来ましたが、こうして見ると、みな結構〈独りよがり〉で根拠が薄弱っぽいのが多いですね。レトリックを駆使したからといって必ずしも説得力を持つとは限らない。むしろ「なんだその決めつけた言い方は!」(ちなみにこの「決めつけ」は「頭から断定してかかる」ような意味で書きましたが、「決めつける=相手の立場を否定して、一方的にこうだと断定する。相手に反駁の余地のないよう非難する」の誤用ですね)という反感を持たれる可能性が高いので、特にオンライン文ではあまり使わない方がよろしいか、と。(これは自戒です。ついつい使っちゃうので)
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