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アーサー・C・クラーク死去 [SF]

 SF作家クラークが亡くなった。90歳という。さすがに最近は新作は書かなくなっていたので、日頃あまり意識することもなくなっていたが、それでも本屋の店頭では「名作コーナー」の常連だった。
 私が読んだ彼の作品は、「太陽系最後の日」「地球幼年期の終わり」「2001年宇宙の旅」「都市と星」「楽園の泉」「宇宙のランデヴー」などで、さほど沢山は読んでいないのだが、ハインライン、アジモフと並んで、巨匠としての圧倒的な存在感をいまだに保っている。

 〈静止衛星〉のアイディアを提唱した(1947年)のはクラークだが、いかにも彼らしい壮大な着想だ。ま、彼が考えつかなくてもいずれは別の誰かが発想し得たのだろうが、先見の明と言えるだろう。天球上の一点に静止する衛星というものが持つ大きな有用性を、スプートニク以前に想像し得たその知性こそ〈SFマインド〉の最たるものではなかろうか? その特許を取っていなかったことを悔やんだ、とも聞くが、冗談半分だろう。そんな地上のせこい話には彼は似合わない。
 静止衛星利用のさらなる発展形のアイディア(これ自体はクラークによるものではないそうだが)としての「軌道エレベータ」は「楽園の泉」でその構築の過程が描かれて非常に興味深いのだが、こっちとなると、その実現性は静止衛星とは比べ物にならない困難さがある。理論上はあり得ても実際には不可能な構築物、というのはいろいろあるだろうが、これなんかはその筆頭ではないだろうか?(リングワールドとかダイソン球の方がもっとスケールがデカいか?)

 クラークの法則「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない」というのも面白い。江戸時代の人間が電話やテレビや自動ドアやリモコンなどを見たら、確かに魔法と思うだろう、という文脈で直感的にわかるわけだが、ではこれからの未来に現れる技術で、今の我々が見たら魔法に思えるようなものはどんなものがあるのだろう?
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