そこに改行を入れるな！

　「そこに句読点を打て」という題名の本があったと記憶する（未読）。句読点の付け方はなかなか難しいものだが、今回の話は、それではなく〈改行〉についてである。
　いろんな人のブログを読んでいると、１行置きに途
中で中途半端に改行していて、非常に見にくいことが
よくある。これは察するに、その書いた本人にとっては美しく見えるよ
うに文書を四角に整形するために改行を加えたものであろう（禁則処
理までしてたりする）。ところが、これは大いなる勘違いだ。
　そもそも、改行というのは何のためにあるものか？　文章に一区切りを入れるためである。要するに段落ごとに改行が入ればいいのであって、それ以外の文末にはいちいち付けない（ましてや単語をぶった切るような改行なんてあり得ない）。つまり〈改行〉とは本来文章の内容というソフトと密接不可分な表現技法の一つなのである。
　ところが、紙に書くときには紙の大きさに制約を受けるから、下（あるいは右）端まで来たら当然行を変えなければいけないわけだが、これは本当の意味の（内容的な）区切りではなく、あくまでも物理的なハードの制約によるものに過ぎない。コンピュータ画面でも物理的制約はあるから右端まで来れば次の文字は次行の先頭に送られて表示される。但し、コンピュータの場合は画面の設定（文字サイズや１行文字数）は柔軟に変えられるから、１行が何文字になるかというのは一意的には決まらない。これを忘れて、今自分が見て入力している画面が絶対的なものだと思いこむ人が、綺麗に見せようとばかりに件のような〈ヘンな位置での改行〉を入れている訳である。
　ブラウザでの表示文字サイズは自由に設定出来るので、自分の見やすい状態にして読むのが普通であろう。（私などは老眼気味なので大きな文字にして読むことが多い。だから書き手の意図した１行が２行に渡ってしまい、結果として１行おきの半端な改行が出現するわけだ。）書いた人と同じ状態でない人の方がむしろ多いのではないだろうか？　見栄えを良くしようとわざわざ改行を入れる人は、結果的にはかえって見にくく（醜く）してしまっているのだ。こんなことはちょっとパソコンを使っていればすぐに気づく筈のものだと思うが、いまだに沢山の人たちがせっせとわざわざ改行を挿入する手間をかけているのが不思議でならない。わかっとらん。
　こういう基本的リテラシーについては、学校教育で教えるべきではないだろうか？　あるいは「どうしてもこの文章は１行32文字の等幅で読んで欲しい」などと思う人は、その文書をグラフィックデータに変換した上でアップロードする、というマナーを普及させる運動、というのも考えられる。（詩などの芸術的文書ならありえなくはないからね。）

タグ：改行

コメント 4

賛成。私の職場でも、へえ？という改行を

する人を見かけます。かつて、その理由を

質したことがあるのですが、どうやら、（特

にテキスト文書は）行間が狭いから気に入

らない。だから、改行することで行間を空け

るのだ、ということでした。ちょうど、こんな

感じにするそうです。askさん、怒らないでく

ださいね。あくまで例示です。このようにす

ることで、その人自身はストレスを感じなく

なるようです。ですが、手間がかかります

ね。文章を少しでも修正すると、字数が変

わりますから。
by もちろん (2008-02-01 22:26) 

あはは。笑っちゃいました。私もそういう人を知っています。ネット上にも必ず１行おきに書いてる人がいますよね。
　それどころか、職場での或る人は「改行」という概念を理解せず、文末から行末まで自動的に改行するまでスペースを入力してた人がいました。修正すると画面が崩れてパニックに陥ってましたよ。
by ask (2008-02-01 22:42) 

お久しぶりです。私のことか、とドキッとしてます。紙に書く文章は段落ごとに改行して１字下げなのですが、ブログの場合、まさに！見やすいかと思って１文ごとに改行、ただし１行空けは段落ごと（１字下げナシで）にしています。見苦しかったらすみません･･･。
by michaela (2008-02-02 11:05) 

michaelaさん、しばらくです。
>私のことか、とドキッ
いえいえ、あなたの場合は
>見やすいかと思って１文ごとに改行
というやり方なので、全然違いますし、読みやすいですよ。
ブログにはその方が向いてるようです。
私のやり方は、旧来の文章作法のままなので、あまりブログ向きではないのかも知れません。
　私の書き方だと余白が少なくなり、文字の占める表面積比が大きくなり画面が黒っぽくなるので、ちょっと〈ウザく〉なるかも。
（あ、これって表面積ネタじゃないか！）
by ask (2008-02-02 19:10)