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「夜は短し歩けよ乙女」(森見登美彦) [ファンタジー/ホラー/ミステリ]

夜は短し歩けよ乙女

夜は短し歩けよ乙女

  • 作者: 森見 登美彦
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/11/29
  • メディア: 単行本
恋愛小説のようであり、ファンタジーのようでもあり、なんともヘンな小説です。
 2003年「太陽の塔」(ツン読中)で第15回〈日本ファンタジーノベル大賞〉を受賞した新進作家の最新作。京都を舞台にした大学生の青春恋愛ファンタジー、しかも可愛い女子学生に片思いする男が主人公という点で「鴨川ホルモー」と大いに共通点がある(ちなみにどっちも今度の「本屋大賞」候補作。〈京都青春小説〉がトレンドなのか?)。どちらも、京都という街のいろいろな場所を巡り歩き、そこかしこの風情情緒がたっぷり盛り込まれているのだが、私は京都に詳しくないので、いまいちピンと来なくて、歯がゆい思いもした。でも、京都っていいなァ…。
 そうだ!京都行こう。 (そのうち)
 腰巻きには「大傑作。文句無しに今年の恋愛小説ナンバーワン」(大森望)とあるが、「恋愛小説」と言うには、あまりにもブッ飛び過ぎのハチャハチャである。ドタバタのしかもシュールなスラプスティックなのだ。
 いや、悶々とする男の心情は見事に活写されているし、こよなく愛らしい「黒髪の乙女」の純真無垢というか天真爛漫というか天然というか、「わかっとらん」な心が、やがて恋(らしきもの)に目覚めて行く過程は心憎くもある。そういう点では確かに「恋愛小説」なんではあるけれど、女流作家が描く正統派の恋愛小説(最近読んだところでは「ツ、イ、ラ、ク」とか「ナラタージュ」とかが印象に残っているのだが)とはまるで違っており、「変格恋愛小説」とでも言うべきではなかろうか?
 それにしても、実にテンコ盛りに盛られた怪人物、怪現象のオンパレードには目眩がしそうになるほどで、イヤハヤ南友!なのである。
 主人公の男女それぞれの視点で、交互に一人称形式で展開するストーリー描写の巧みさはなかなかのものであって、こういう手法って別に新しいものではないのだろうけれど、そのあまりのズレっぷり、行き違いが笑いを誘う。それにしても片思いに身を焦がす男の方はありきたりのパターンであるのに対し、女の方はちょっとあり得ないようなユニークすぎるキャラである。そんな女が居るかっ!と思いつつも、いやぁーいいですねー!こういう女の子が居たら。
 ともあれ、読んでてこんなに楽しく温かい思いになった小説は久しぶりだった。オススメ。
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コメント 1

サンフランシスコ人

映画「夜は短し歩けよ乙女」....2018年8月24日....サンフランシスコの映画館で公開....

http://www.roxie.com/ai1ec_event/night-is-short-walk-on-girl/?instance_id=28601
by サンフランシスコ人 (2018-07-31 03:21) 

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